2025年12月
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水資源管理における気候レジリエント開発の重要性 インド工科大学マドラス校

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は11月18日、気候変動がインドの水資源に及ぼす影響と、気候レジリエント開発(CRD)の枠組みを整理した記事を公開した。

清潔な水へのアクセスは生物の基本的権利であるが、近年の気候変動は国内の水関連災害を増加させているという。2013年のケダルナート洪水では5000人以上が死亡し、損失は約440億インドルピーに達した。他にも2015年のタミル・ナードゥ州洪水、2018年のケーララ州の洪水と地滑りなどが挙げられる。

水力発電や供給に関わるダムや分水路を巡っては、環境影響の評価に専門家の見解が分かれる一方、水生生物の移動阻害や温室効果ガス排出につながる可能性が指摘されている。さらに、水需要の増加と一人当たり利用可能量の減少、干ばつと洪水の併発、水質悪化、湧水量の減少、制度対応の遅れなど、多様な課題がある。

著者らは、GHG削減と適応策を統合するCRDが持続可能な開発に不可欠であるとし、水分野に関係するSDGs目標として2、3、6、7、9、11、12、13、15、17を挙げた。重点領域として、強靭なインフラと環境整備、管理施策を明確に示した。流域の比較では、ガンジス川やブラマプトラ川流域に対し、ナルマダ川、クリシュナ川、ゴダヴァリ川、マハナディ川流域が相対的に気候耐性が高いとしている。

1950年代~2000年代に建設された水力発電施設は老朽化しており、既存インフラの強化、下水処理の改善、飲料水・非飲料水用途での再利用が不可欠とした。さらに、欧州連合、米国、オーストラリアなどの取り組みから学ぶ重要性や、インドにおけるCRDのSWOT分析も紹介されている。

米国のコロラド大学のバラジ・ラジャゴパラン(Balaji Rajagopalan)教授は「著者らは、インドの水資源の現状を描写するとともに、水資源管理の軌跡とその発展の文脈を辿るという素晴らしい仕事をしました。水管理が複数州にまたがることは管理の上で難しさがありますが、提示された開発計画は、インドの計画担当者に優れた指針を示しています」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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