インドは薬剤耐性(AMR)への対応を強化するため、第2次国家行動計画を発表した。科学誌nature indiaが伝えた。
第2次国家行動計画の計画期間は2025~2029年の5年間で、人間の健康、獣医学の実践、水産養殖、環境監視を一体で捉えるワンヘルスアプローチを中核に、統合監視、技術革新、行動変容を重視する方針を示す。
AMRは、人の医療や獣医学、水産養殖、畜産、養鶏における抗生物質の過剰使用に加え、環境汚染や社会経済的要因が重なり深刻化している。2017年に策定された前回計画と比べ、今回の計画ではワンヘルスを実務レベルで運用する点が大きな特徴とされる。米国微生物学会とインド理科大学院(IISc)が開催したAMR関連シンポジウムでは、地域社会や環境におけるAMR監視体制の重要性が強調された。
国家ワンヘルスミッションの下では、インド全土における人獣共通感染症の分布調査が進められ、地域ごとの感染症リスクを踏まえた重点的な監視に役立つデータが蓄積されている。環境面では、下水中の病原体や耐性遺伝子を調べる監視も拡大している。新型コロナウイルスの下水監視で成果を上げた手法を応用し、複数都市でAMRの兆候を継続的に追跡している。迅速診断や新規抗菌薬、ワクチンの開発も重要な柱の1つで、国内外の連携で設立されたインドAMRイノベーションハブは、耐性菌検出技術などの研究開発を後押ししている。
一方、研究者への投票調査では、AMR削減の最大の鍵は行動変容との見方が多数を占めた。インドバイオテクノロジー中小企業財団(IBioM)のミトゥール・ジャガディッシュ(Mittur Jagadish)氏は、ワンヘルスの原則に沿った生涯にわたる習慣を身につける可能性の高い青少年に介入を集中させるべきだと強調する。インドのチェンナイにあるアポロ病院の感染症専門医のアブドゥル・ガフル(Abdul Ghafur)氏は、中央政府が策定した文書や政策は、州が行動計画を策定し、効果的に実施しない限りその効果は限定的となるため、中央と州の強力な連携と州レベルのオーナーシップが必要だと指摘している。
(2025年12月8日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部