2026年01月
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エクソシスト複合体がオートファジーに関与する新機構を解明 インド

インド科学技術省(MoST)は、傘下の研究機関であるジャワハルラール・ネルー先端科学研究センター(JNCASR)の研究者らが、細胞内浄化機構であるオートファジーに関与する新たな仕組みを明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Proceedings of the National Academy of Sciencesに掲載された。

図:タンパク質凝集体を包み込むオートファゴソーム。この顕微鏡画像では、緑色で示されたオートファゴソームが、マゼンタ色で示されたタンパク質凝集体を取り囲もうとしている。大きさは約1~2マイクロメートル
(出典:PIB)

オートファジーは、損傷したタンパク質や不要な細胞小器官を分解・再利用する仕組みで、神経細胞の維持や感染防御に重要な役割を果たす。この経路が正常に機能しない場合、アルツハイマー病やパーキンソン病、ハンチントン病などの神経変性疾患が引き起こされることが知られている。また、がんにおいては初期段階では腫瘍抑制に寄与する一方、進行後はがん細胞の増殖を促進する場合があることが知られている。

今回の研究では、単純な酵母細胞を用いた解析により、重要な分子を細胞表面へ輸送する役割を果たすとされてきたエクソシスト複合体と呼ばれるタンパク質群が、オートファゴソームと呼ばれる「細胞のゴミ袋」の形成にも重要であることが示された。複合体に含まれる8種類のタンパク質のうち7種類が、オートファゴソームを成長させ、細胞内の不要物を完全に包み込む過程に必須であることが分かった。複合体が欠損すると、オートファゴソーム形成が途中で停止し、機能しない構造が生じるという。

今回の発見によりエクソシスト複合体が分泌経路だけでなく、オートファジー経路の初期段階にも関与する分子機構が解明された。この知見は、オートファジー異常が関与する神経変性疾患やがんに対する治療戦略の基盤となる可能性がある。

(2025年12月18日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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