インドの電子・情報技術省 (MeitY)は1月21日、AIの普及と投資収益率(ROI)を重視する国家戦略を示し、官民連携による計算基盤整備や技術法的アプローチに基づくAIガバナンスを進めていると発表した。

(出典:PIB)
同省によると、インドはAIをアプリケーション、モデル、チップ、インフラ、エネルギーの5層から成る体系として位置付け、全ての層で取り組みを進めている。特にアプリケーション層では、世界に向けたサービス供給を担う立場にあるとしている。AIにおけるROIは、大規模なモデルの開発そのものではなく、企業レベルでの導入と生産性向上によって生まれるとの考えを示した。
また、AIのユースケースの約95%は、200~500億パラメータ規模のモデルで対応可能であり、こうしたモデルは既に国内で複数分野に展開されているという。地政学の文脈では、非常に大規模なAIモデルの保有と影響力を同一視する考え方に注意を促し、モデルが停止される可能性や開発側に経済的負担を生じさせる可能性がある点に言及している。
計算資源については、GPUの不足が主要な制約であるとして、官民連携(PPP)による共通計算基盤を整備した。約3万8000台のGPUを国家共通の計算施設として登録し、政府の支援と補助金により、学生、研究者、スタートアップ、イノベーターが世界平均の約3分の1のコストで利用できるとしている。さらに、実用的ニーズを満たすAIモデルの提供、1000万人規模の人材育成、IT産業のAI活用転換を含む4つの柱をAI戦略として掲げた。
規制とガバナンスの面では、法律と技術を組み合わせた技術法的アプローチを採用している。偏り(バイアス)やディープフェイクへの対応には、法制度に加えて検出や軽減のための技術的手段が必要だとし、ディープフェイク検出については司法の場で検証に耐える精度が求められるとしている。あわせて、企業導入前のモデルのアンラーニングを含む関連技術の開発を進めていると説明した。
なお、これらの見解は、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(World Economic Forum)年次会合のパネルディスカッションで示された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部