2026年02月
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堆積物分析で過去約2600年の気候変動と人間活動を復元 インド

研究者らは、インド中部バンダヴガル国立公園で採取した堆積物を分析し、過去約2600年にわたる気候変動と人間活動の関係を復元した。科学誌nature indiaが1月23日に伝えた。研究成果は学術誌The Holoceneに掲載された。

インドのマディヤ・プラデーシュ州に位置するバンダヴガル国立公園は、現在はトラ保護区として知られている。研究チームは公園内のチャクラダラ草原から長さ60cmの堆積物コアを採取し、過去約2600年間の環境変化を調べた。分析には、鉱物磁気、粒度分析、珪藻生態学、花粉分析、元素地球化学の5つの手法が用いられ、紀元前525年頃から現在までの5つの気候段階が再構築された。

本研究には、インドのビルバル・サーニ古科学研究所(BSIP)やアショカ大学などの研究者が参加した。初期段階では湿潤と乾燥が繰り返され、狩猟採集民の存在を示す石器とともに、約2480年前には穀物花粉が確認され、農耕活動が行われていたことが示された。

続く乾燥化の時期には、水深の浅化や環境ストレスを示す珪藻群集の変化が確認された一方、大規模な洞窟掘削が始まっていた。約1700~1300年前にはモンスーンが再び強まり、熱帯落葉樹であるサル林(サラソウジュShorea robusta)と安定した湿地が拡大した。洞窟の利用も継続していたことが記録されている。

約1300~400年前の乾燥期には、カラチュリ王朝が寺院の建立や水管理施設の整備を進めていたことが、珪藻生態学と花粉分析の結果から示された。研究チームは、広域的なモンスーンが弱い状況でも、平頂の砂岩丘陵や低地の湿地といった地域特有の地形が、水文的な安定性を維持していたと整理している。

アショカ大学学際考古学研究センターのナヤンジョット・ラヒリ(Nayanjot Lahiri)氏は、「気候変動があったにもかかわらず、古代から中世にかけて人間の居住が拡大してきた点が確認できます」と述べた。また、BSIPのビニタ・ファルティヤル(Binita Phartiyal)氏は、「気候段階を先に独立して定義し、その後に考古学史料と比較した点が本研究の特徴です」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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