インド科学技術省(MoST)は1月29日、同省傘下のアリャバッタ観測科学研究所(ARIES)の研究者らが、ブラックホール周囲の降着円盤に見られる準周期振動(QPO)の発生過程を、相対論的数値シミュレーションによって解析したと発表した。研究成果は学術誌The Astrophysical Journalに掲載された。
ブラックホールは強い重力を持つため、周囲の物質は引き寄せられ、降着円盤と呼ばれる一時的な構造を形成する。この円盤内での物質の運動は、放射されるエネルギーや電磁波の性質を左右する。物質の運動が主に回転成分で支配される場合は熱放射が優勢となる一方、内向きの落下速度が大きい場合には非熱放射が卓越し、光度が周期的に変動する現象が観測される。
ARIESの研究チームは、相対論的ガスに適した状態方程式を用いた数値シミュレーションコードを用い、粘性を持つ降着流の時間発展を解析した。このコードは、エネルギー、質量、運動量の保存を満たすよう設計されている。
解析の結果、特定の条件下では、降着するガスがブラックホールへ滑らかに流れ込まず、流速が急激に低下し、加熱と高密度化を伴う衝撃波が形成されることが示された。さらに、円盤内の粘性が十分に大きく、放射による冷却が起こる場合、これらの衝撃波は時間とともに不安定化し、前後に振動する挙動を示した。
研究では、密度、温度、角運動量といった物理量の分布や時間変化も解析された。粘性が高い条件(α≧0.05)では、衝撃波の内側に泡状の乱流構造が形成され、これらが振動や噴出を伴うことで、円盤に垂直な方向への流出が強まることが確認された。シミュレーション外縁で評価した流出物質の速度は、時間平均で光速の25%を超える場合があることも示された。

Fig: Contours of density and velocity vectors (arrows) in the first row, temperature (in kelvin) in the second row, and angular momentum (λ) in the third row with the α = 0.05 for model L2. The first, second, third, and last columns are captured at times 85,000tg, 95,000tg, 104,000tg, and 112,500tg, respectively. See text for details.
(出典:PIB)
研究チームは、相対論的状態方程式を用いた電子‐陽子プラズマの粘性遷音速降着流について、2次元数値シミュレーションにより詳細な動的特性を解析したとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部