インド科学技術省(MoST)は2月24日、インド科学技術庁(DST)傘下のナノ・ソフトマター科学センター(CeNS)の研究チームが、高い熱安定性と優れた光学特性を持つ金液晶(Au-LC)ハイブリッド材料を開発したと発表した。研究成果は学術誌ACS Applied Nano Materialsに掲載された。
ナノ材料とソフトマターを組み合わせたナノ・ソフトハイブリッド材料は、ナノテクノロジーの精密さと柔軟な材料特性を併せ持つ新しい材料群であり、最先端の電気光学デバイスやエネルギー効率の高い電子機器、先進センサーへの応用が期待されている。
本研究では、CeNSのB.L.V.プラサド(B.L.V. Prasad)博士らの研究チームが分子工学と最小限の化学処理を用い、新しい材料に優れた性能をもたらす構造と機能の大きな変化を起こすことに成功した。研究ではアミン官能化液晶(LC)と呼ばれる分子を合成し、この分子が還元剤として作用して金ナノ粒子を形成すると同時に、その場で粒子を安定化させる役割を果たした。これにより追加の試薬を必要としない簡潔な合成プロセスが可能となった。
その結果、純粋な液晶では約27℃までだった熱安定性が、Au-LC複合材料では約145℃まで拡大した。また、Fano共鳴と呼ばれる特殊な光学現象が観測され、従来は複雑で高価な装置を必要とした光学効果を、比較的単純な材料構造で実現できる可能性が示された。

(出典:PIB)
この材料は、極めて小型で強力な光源であるプラズモニック・レーザーや、微量の化学物質・汚染物質・生体マーカーを検出する高感度センサー、光を精密に制御するフォトニック材料などへの応用が期待される。研究チームは、こうしたナノ・ソフトハイブリッド材料が、スマートセンサーや応答性コーティング、次世代フォトニックデバイスの開発に向けた実用的な基盤となる可能性があるとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部