イスラエルのハイファ大学、台湾の中央研究院、インドのガンジー工科経営大学院の研究者らは、アリの単女王制と多女王制の違いに関わる「スーパー遺伝子」を特定した。科学誌nature indiaが3月2日に伝えた。研究成果は学術誌Current Biologyに掲載された。
研究チームは、砂漠に生息するカタグリフィス・ニゲル(Cataglyphis niger)の単一集団から30個の巣を調べ、女王アリ28匹、働きアリ644匹の計672個体を解析した。その結果、単女王コロニーと多女王コロニーの違いは、第2染色体上にあるY染色体様のスーパー遺伝子と結び付いていることが分かった。これは、複数の遺伝子が組換えを起こしにくいまま、まとまって受け継がれる大きなゲノム領域である。
さらにアリ類のゲノムを比較したところ、この「社会染色体」は、カタグリフィス属より近縁なフォルミカ属ではなく、ソレノプシス属のヒアリにあるものと相同だった。両者の共通祖先は9000万年以上前にさかのぼるという。
この染色体に対応する遺伝子群は、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)を含むハチ類にも保存されていた。1億7500万年以上にわたり遺伝子のまとまりが保たれており、多くは嗅覚やドーパミン伝達に関わる。研究は、化学的コミュニケーションや社会行動を支える古い遺伝的基盤が、異なる系統で繰り返し利用されてきた可能性を示している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部