2026年05月
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温度で特性を制御できるナノ材料 電子機器への応用に可能性 インド

インド科学技術省(MoST)は4月9日、科学技術庁(DST)傘下のナノ・ソフトマター・サイエンスセンター(CeNS)およびジャワハルラール・ネルー先端科学研究センター(JNCASR)の研究者らが、小さな有機分子が高度な機能性材料を形成するよう導かれる仕組みの解明に重要な進展を得たと発表した。研究成果は学術誌ACS Applied Nano Materialsに掲載された。

(出典:PIB)

CeNSとJNCASRの研究チームは、ナフタレンジイミド(NDI)を対象に調査を行った。同分子は、超分子自己組織化と呼ばれる過程を通じて水中で自ら秩序構造を形成する特異な能力を有する。両親媒性分子は非共有結合相互作用によって集合し、明確なナノ構造を形成するため、電子工学やフォトニクス、生体医療分野における応用が期待されている。

研究者らは、室温ではNDI分子がナノディスクと呼ばれる微小な円形ナノ構造へと自己組織化することを見いだした。これらのナノディスクは、偏光と特徴的に相互作用する光学特性(キラル光学活性)を示すことが確認された。さらに、加熱により構造が再編成され、キラル光学活性を持たない二次元ナノシートへと転換することが観測された。これらの結果は、温度のみで材料の構造および光学状態を切り替え可能であることを示している。

また研究者らは、ナノディスクが高い電気伝導性を示す一方、ナノシートへと変換されるとその伝導性が約7分の1に低下することを観測した。これらの結果は、自己組織化の経路を制御することで材料の電気的挙動を精密に調整できることを示唆している。このような特性を調整できる性質は小分子有機材料では稀である。

本研究は、ナノスケールにおける分子挙動の理解が次世代機能性材料の設計に影響を与える可能性があることを示すものであり、分子集合を制御する簡便な手法として、センサーや電子機器、スマート技術への応用に向けた新たな可能性を開くものである。同研究はCeNSのゴータム・ゴーシュ(Goutam Ghosh)博士が主導し、同センターのスーラヴ・モイラ(Sourav Moyra)氏およびJNCASRのタラク・ナート・ダス(Tarak Nath Das)氏が参加した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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