2026年05月
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グラフェンで生体分子の細胞内送達を高効率化 インド工科大学マドラス校

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は4月30日、IIT-Mなどの研究者らが、還元型酸化グラフェン(rGO)を用いたフォトポレーションにより、DNAやRNA、タンパク質などの生体分子を細胞内に迅速かつ効率的に送達するプラットフォームを開発、実証した研究内容を紹介した。研究成果は学術誌Materials Advancesに掲載された。

遺伝子治療や標的がん治療、細胞プロセスの研究では、生体分子を細胞内に送達する技術が重要となる。ウイルスを用いる方法は細胞の免疫系が脅威として認識する可能性があり、化学的方法は細胞損傷を起こすことがある。物理的方法の一つであるフォトポレーションは、光と物質の相互作用で細胞膜に一時的なナノサイズの孔を作り、生体分子を送達する方法で、高スループット、非接触、高い細胞生存率などの利点を持つ。一方、従来のナノ光増感剤を介した方法では、送達の不均一性や効率、再現性の低さ、ナノ粒子の細胞内取り込みに伴う細胞毒性が課題だった。

IIT-M工学設計学部のドニア・ドミニク(Donia Dominic)氏、トゥヒン・スブラ・サントラ(Tuhin Subhra Santra)博士らは、固定化・マイクロパターン化したrGOデバイスと、近赤外ナノ秒パルスレーザーによる走査システムを組み合わせた。rGOは低コストで拡張性があり、分解されにくく、マイクロパターニングが容易で、可視域から近赤外域に及ぶ広く平坦なスペクトル特性を示す。これにより、細胞毒性を最小限に抑えながら、制御された細胞膜透過化を実現した。

このプラットフォームは、PI色素、siRNA、EGFP発現用プラスミド、酵素など幅広い生体分子を、臨床的に重要なヒト間葉系幹細胞(hMSCs)を含むさまざまな細胞株に送達できた。論文著者には、インドのキリスト教医科大学のラジディープ・オジャ(Rajdeep Ojha)博士、豊橋技術科学大学の永井萌土(Moeto Nagai)博士、IIT-Mとインド工科大学ハイデラバード校(IIT-H)のスラバニ・カル(Srabani Kar)博士も含まれる。同デバイスは数秒で100万個の細胞にトランスフェクションでき、細胞ベース治療、遺伝子治療、創薬スクリーニング、再生医療への応用が期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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