インド政府報道情報局(PIB)は5月13日、独自のデジタル公共インフラ(DPI)と人工知能(AI)の融合により、同国の金融包摂が基礎的な銀行アクセス拡大から、リアルタイムで包摂的な金融サービスを大規模に提供する段階へ移行していると紹介した。
インドでは、国民皆口座、Aadhaarによる生体認証、携帯電話接続を組み合わせたJAM Trinityが金融包摂の基盤となっている。2026年3月時点でAadhaar番号は14億4000万件超、Jan Dhan口座は2015年の1億4720万口座から2026年4月29日時点で5億8160万口座に増え、預金総額は3兆200億ルピーに達した。

(出典:PBI)
決済面では、統合決済インターフェース(UPI)が携帯端末を通じて任意の2銀行口座間の即時送金を可能にしている。2026年3月には226億4110万件、総額29兆5300億ルピーの取引が行われ、691行が参加した。直接給付制度(DBT)では、2026年1月時点で累計49兆900億ルピーが市民の銀行口座に直接送金され、重複・架空受給者の排除により4兆3100億ルピー超を節約した。
AI活用に向けた政策支援も進む。デジタル・インディアBHASHINI部門(DIBD)とインド準備銀行(RBI)は2026年2月、金融サービスへの多言語アクセス強化に向けた了解覚書(MoU)に署名した。両者は銀行用語や規制ガイドラインなどを統合する分野特化型言語モデル「Banking BHASHINI」を共同開発する。RBIの規制のサンドボックス(RS)はAPIサービスやデジタルKYCなどの試験を可能にし、RBIイノベーション・ハブ(RBIH)のMuleHunter.AIはサイバー犯罪に使われる「ミュール」口座の検出を支援する。
信用分野では、AIがデジタル決済、物品・サービス税(GST)申告、銀行明細、公共料金支払いなどの代替データを使い、従来型信用スコアを補う。統合融資インターフェース(ULI)には2025年12月12日時点で64の貸し手が参加し、136超のデータサービスを12種類の融資手続きで利用している。アカウント・アグリゲーター(AA)枠組みでは、26億超の口座がデータ共有に対応し、2億5290万人が口座を連携している。インドはAI主導の金融包摂を、Viksit Bharat 2047に向けた成長の基盤と位置付けている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部