インド科学技術省(MoST)は6月12日、同省傘下のアリャバッタ観測科学研究所(ARIES)の研究者らを含む国際研究チームが、2023年に渦巻銀河NGC 2139の端で発見された超新星SN 2023zcuの進化を詳細に解析し、宇宙の距離尺度の構築に役立つ可能性を示したと発表した。研究成果は学術誌The Astrophysical Journalに掲載された。

Fig I: The location of SN 2023zcu is marked in the host galaxy, along with the other two SNe 1995ad and 2022qhy, which previously exploded in the same galaxy.
超新星は宇宙で最も激しい爆発の一つで、重力崩壊型超新星(CCSNe)は、大質量星が内部の核融合反応を続けるための燃料を使い果たし、自身の重力を支えられなくなった時に起こる。中でもIIP型は、太陽の約8~17倍の質量を持つ赤色超巨星が寿命を迎える際に生じる最も一般的な型である。中心核の崩壊で原始中性子星ができ、外層が吹き飛ばされると、光度曲線に数カ月続く平坦部「プラトー」が現れる。水素が豊富なことは、Hα線に見られるP Cygniプロファイルにも表れる。
SN 2023zcuは2023年12月8日、地球から約9070万光年(27.8Mpc)離れた渦巻銀河NGC 2139で、爆発後1日以内に発見された。ARIESのモナリサ・デュベイ(Monalisa Dubey)氏、クンタル・ミスラ(Kuntal Misra)博士、ナビーン・ドゥキヤ(Naveen Dukiya)氏らは、地上・宇宙望遠鏡による測光・分光観測を基に、超新星進化の各段階を分析した。
研究チームは、膨張光球法(EPM)により、この超新星までの距離を約8800万光年(約27Mpc)と推定した。EPMは、超新星の膨張する表面の実際の大きさと見かけの明るさを比較して距離を求める手法である。厚い水素層と安定したプラトー期を持つIIP型超新星では、温度や膨張速度を比較的正確に測定できるため、この手法の前提の信頼性が高いという。

Fig 2: The distance measurement of the SN using the Expanding Photospheric Method (EPM) (Left panel). Semi-analytical modeling was performed on the bolometric light curve of the SN to estimate the progenitor's properties. (Right panel).
初期スペクトルは、超新星放出物質と周囲のガスとの相互作用が小さく、爆発前の質量放出が少なかったことを示した。プラトー期には水素に加え、鉄、ナトリウム、カルシウムの線が確認され、爆発に伴う元素形成を示唆した。星雲期には超新星放出物質が透明になり、酸素、鉄、カルシウム、マグネシウムなどの禁制線も現れた。ボロメトリック光度のモデル化から、元の星は太陽の約12倍の質量を持ち、爆発エネルギーは約2×10⁵¹エルグと推定された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部