インド宇宙物理学研究所(IIA)の研究者らは、天の川銀河の周囲を回る小型の銀河である矮小楕円体銀河のいくつかが、巨大銀河の中心にある「怪物」のような超大質量ブラックホールよりはるかに小さいブラックホールを中心部に持つ可能性を示した。科学誌nature indiaが6月22日に伝えた。研究成果は学術誌Astrophysical Journalに掲載された。
超大質量ブラックホールは多くの大型銀河の中心に存在する。一方、宇宙で最も小さな銀河もこうした宇宙の重量級天体を宿すのかは、十分に分かっていない。矮小楕円体銀河は、恒星だけでは説明できない大きな質量を持つことが以前から知られ、宇宙で最も暗黒物質(ダークマター)に支配された系の一つとされている。
同研究所の天体物理学者K・アディティア(K. Aditya)氏とA・マンガラム(A. Mangalam)氏は、ブラックホールも質量に寄与している可能性を調べるため、天の川銀河の8つの衛星銀河であるカリーナ、りゅう座、ろ座、しし座I、しし座II、ちょうこくしつ座、ろくぶんぎ座、こぐま座における恒星の運動を分析した。
研究チームは各銀河を、恒星、ダークマターハロー、中心部のブラックホールから成る3成分系としてモデル化した。分析ではブラックホールの決定的な証拠は得られなかったが、恒星運動のデータは、各銀河の中心に比較的低質量のブラックホールが存在する場合と整合していた。
研究チームは正確な質量を特定するのではなく、あり得る上限と下限を設定した。存在する場合、ブラックホールの質量は太陽の約10万~100万倍とみられる。これは、太陽の数十億倍を超えることもある超大質量ブラックホールと比べれば小さい。研究はまた、こうしたブラックホールがガスを降着し、その後、近くの恒星を捕獲することで徐々に成長し得ることも示唆している。一方、矮小楕円体銀河自体は、太陽の約1億~10億倍の質量を持つダークマターハローに埋め込まれているようだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部