2026年07月
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室温近くで磁気状態を切り替えるスマート多孔性材料を開発 インド理科大学院

インド理科大学院(IISc)は6月29日、同院固体・構造化学ユニット(SSCU)の研究者らが、光や熱、圧力などの刺激で磁気状態を可逆的に切り替えられるスマート多孔性材料を開発したと発表した。研究成果は学術誌Angewandte ChemieとSmallに掲載された。

この材料は、自己組織化する金属有機層からなる高多孔性結晶で、次世代データ記憶装置、量子プロセッサー、高度産業用センサーの構成要素となる可能性がある。研究を率いたSSCUのアビシェク・モンダル(Abhishek Mondal)准教授らは、ガスや液体センサーに使われる3次元蜂の巣型多孔性材料で、結晶格子の弾性を利用し、原子間の力を材料全体へ伝えることで、材料全体が連動して磁気状態を切り替える「協同的挙動」を実現した。

従来の多孔性材料では、ガスや液体の出入りで結晶格子が膨張・収縮しても、その力が細孔に吸収され、材料全体の磁気状態を切り替えにくかった。新材料では、各原子がスピン状態を変えると、隣接原子を押す力が弾性格子を通じてドミノ効果のように広がり、材料全体が磁気状態を整然と反転する。この変化は可逆的で、光や熱、機械的圧力でも繰り返し制御できる。同准教授は、メタン(CH4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)などを高感度で選択吸着するスマートガス捕捉センサーへの展開を進めているという。

また、両論文の筆頭著者であるSSCU博士課程のクリシュナ・カウシク(Krishna Kaushik)氏らは、超低温でしか動作しない従来材料の課題に対し、2次元六角形フレームワークを設計した。まず前駆体となる錯体を合成し、この錯体は溶媒分子や大気中の水分と反応して高安定性錯体へと変化する。前駆体は176K(約マイナス97℃)でスピン状態と電子状態を切り替えるが、変化後の錯体は約240Kと310K(約マイナス33℃と37℃)で2つの明確な転移を示し、室温領域での磁気スイッチングを実現した。

同准教授は「現代のデータセンターや電子機器は膨大な量のエネルギーを消費しています。より効率的に動作する代替材料は、エネルギー需要を減らし、持続可能な技術に貢献できます」と研究の意義を語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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