2026年07月
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9種の野生動物保全で700種超の脊椎動物と森林炭素を守る可能性 インド

シンガポール国立大学(NUS)などの研究チームは、インドで9種の野生動物を保全の基点となる「アンカー種」として生息地を守ることで、700種を超える脊椎動物と、地上部に約11億トン(1.1GtC)の炭素を蓄える森林などを保全できる可能性を示した。科学誌nature indiaが7月6日に伝えた。

研究チームは、インド野生生物保護法(WPA)で保護される絶滅危惧種160種について、2187種の陸生生物の高解像度生息地地図と炭素バイオマスデータを用い、各種の生息域を保全した場合に守られる生物種数と、森林などの地上部に蓄積された炭素量を評価した。その結果、サンバー、ヒョウ、ドール、トラ、キングコブラ、ガウル、インドセンザンコウ、ナマケグマ、オオサイチョウの9種が高い効果を示した。特にサンバー、ヒョウ、ドールはいずれか1種の生息域を守るだけでも、脊椎動物多様性の半数以上と、地上部に約18億トンの炭素を蓄える地域を保全できる可能性がある。

インドは2030年までに陸域・水域の30%を保全する目標を掲げるが、保護地域は現在、国土の約5%にとどまる。研究チームは、既存のWPAによる種別保護制度を活用すれば、生物多様性保全、気候変動緩和、自然再生型の土地利用計画を結び付けられるとした。筆頭著者でNUSのアーカシュ・ランバ(Aakash Lamba) 氏は「これらのアンブレラ種の多くは既に保全政策に組み込まれており、3分野を整合させる現実的な方法です」と述べた。

一方、この手法は広域に生息する種を優先し、局地的な希少種や森林以外の生態系に特化した種を十分に評価できない可能性がある。また、炭素を多く蓄える地域を重視すると、生物多様性は高いものの地上部の炭素量が比較的少ない砂漠や高山草原などが後回しになる恐れもある。インドのCSIR国立環境工学研究所(CSIR-NEERI)のシャリニ・ディヤニ(Shalini Dhyani)氏は、地域社会による保全区域、民間主導の自然再生、アグロフォレストリー、都市林なども活用すべきと指摘した。インド野生生物研究所元所長のV・B・マトゥール(V. B. Mathur) 氏は「地域社会の支持がなければ、生態学的に妥当な保全活動でも長期的な成功は望めないでしょう」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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