2026年08月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2026年08月

初の有人宇宙飛行へ、宇宙飛行士候補4人が大学で科学研究を学ぶ インド

インド初の有人宇宙飛行計画「ガガンヤーン(Gaganyaan)」に選ばれた4人の宇宙飛行士候補が、インド理科大学院(IISc)の学位課程で研究方法を学び、科学者としての訓練を受けている。科学誌nature indiaが7月10日に伝えた。

2028年後半の打ち上げを予定する同計画の宇宙飛行士候補は、いずれも戦闘機パイロットである。アジット・クリシュナン(Ajit Krishnan)氏は博士課程で、仮想現実(VR)、機械学習、人間工学を組み合わせ、人間と宇宙船の相互作用を研究する。宇宙船内での視野の向きや、人間が操作に関与する機動方法について、査読付き論文も発表した。

アンガド・プラタップ(Angad Pratap)氏は修士課程で、データが直感を覆すことや、実験を繰り返す必要性を学ぶ。アクシオム・スペース社民間宇宙飛行士ミッション(Ax-4)で国際宇宙ステーション(ISS)に滞在したシュバンシュ・シュクラ(Shubhanshu Shukla)氏は、アローク・クマール(Aloke Kumar)准教授の指導で、月や火星のレゴリス(表面を覆う砂や岩石の破片)から建設資材を製造する可能性を探る微生物利用技術を研究する。研究室で習得した生物試料の扱い方や実験手順は、ISSでの生物実験にも役立ったという。プラサント・バラクリシュナン・ナイル(Prasanth Balakrishnan Nair)氏は航空宇宙工学の修士課程で学んでいる。

4人がロシアでの訓練を終えた後、インド宇宙研究機関(ISRO)はIIScに理論教育を依頼した。教員との交流は共同研究へ広がり、正式な学位課程に発展した。瞬時に明確な判断を下す訓練を受けたパイロットが、仮説を問い直し、予想外の結果や不確実性を受け入れる研究者の思考法を身に付けることが、この教育の特徴である。

有人宇宙飛行には、工学者だけでなく、医師、心理学者、栄養学者、生理学者、生物学者らが関わる。科学者として訓練された宇宙飛行士は、実験を設計し、証拠を分析し、異分野の研究者と協力することで、長期の軌道滞在を目指す将来のミッションでも重要な役割を担うとみられる。クリシュナン氏を指導するプラディプタ・ビスワス(Pradipta Biswas)氏は「宇宙飛行士は単に機械を操作するのではありません。宇宙飛行士自身がシステムの一部になるのです」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

  • アジア・太平洋総合研究センター
  • Science Japan
  • 客観日本
上へ戻る