インド理科大学院(IISc)は7月13日、同大学材料工学科の研究者らが、従来のアルミニウム共晶合金より延性が約400%向上し、強度も50%高いうえ、250℃でも高い機械的強度を保つ、航空宇宙・自動車・エネルギー用途向けの軽量鋳造アルミニウム合金を開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。
鋳造アルミニウム合金は軽量で安価な一方、合金中の微細で脆い繊維状組織が亀裂の起点となり、延性と構造信頼性に限界があった。研究チームは、アルミニウム・ガドリニウム合金に微量のジルコニウムを加えて熱処理し、脆い繊維状組織を取り囲む、超格子構造を持つ極薄のナノ層が形成されることを発見した。この規則的な原子層は、繊維状組織と軟らかいアルミニウム母相との界面を強化して亀裂の発生を防ぎ、応力を効率的に伝達する。
さらに、アルミニウム母相全体に数十億個のコアシェル型ナノ粒子が分散して形成された。これらは変形時に極めて微細な転位網の形成を促し、材料が破壊するまで、より大きな塑性ひずみに耐えられるようにする。研究者らは、IIScの先端顕微鏡・微細構造解析施設(AFMM)にある最先端の顕微鏡・評価技術を用いてナノ構造の原子配列を直接可視化し、合金内部の変形機構を根本的に変える仕組みを明らかにした。新合金は高温でも優れた強度と耐クリープ性を保つため、航空宇宙・自動車部品の重い材料を代替し、燃費向上と温室効果ガス排出削減に寄与する可能性がある。
研究にはIIScのプラビーン・クマール(Praveen Kumar)教授、ドイツのマックス・プランク持続可能材料研究所のディルク・ラーベ(Dierk Raabe)教授とバプティスト・ゴールト(Baptiste Gault)教授も参加した。筆頭著者でIISc材料工学科博士課程学生のヘマント・クマール(Hemant Kumar)氏は「ナノ層の発見は、私の博士課程で最も心躍る瞬間の一つでした。合金の強度と延性をともに高める全く新しい界面強化機構が明らかになったからです」と語った。責任著者で同学科准教授のスレンドラ・クマール・マキネニ(Surendra Kumar Makineni)氏は「原子レベルで界面を設計し、軽量・耐熱アルミニウム合金の根本的に新しい設計戦略を実証しました」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部