インド科学技術省は7月17日、同省科学技術庁(DST)傘下の研究機関の研究者らが、リチウムイオンを移動しやすくする新たな多孔質有機負極材料を開発し、同材料を用いた電池が1分余りで80%まで充電され、多数回の充放電後も優れた性能を維持したことを発表した。研究成果は学術誌Advanced Materialsに掲載された。

共有結合性有機構造体(COF)を用いた、急速充電が可能で安全性の高い有機電池の利用例
(出典:PIB)
電気自動車、スマートフォン、ノートパソコン、再生可能エネルギー向けの蓄電需要が拡大する中、寿命を損なわずに急速充電できる電池が求められている。インド科学育成協会(IACS)のウルミマラ・マイトラ(Urmimala Maitra)博士とS.N.ボーズ国立基礎科学センター(SNBNCBS)のプラディップ・パチフレ(Pradip Pachfule)博士が率いる共同研究チームは、この課題に対応する新たな共有結合性有機構造体(COF)材料を開発した。
COFは多孔質の有機材料である。開発した材料は、電池内でエネルギーを蓄える微小な荷電粒子であるリチウムイオンを、はるかに移動しやすくする。これにより、将来の充電池で耐久性と信頼性を保ちながら、充電時間を大幅に短縮できる可能性がある。実用的な電池デバイスでも正常に作動し、実社会での応用可能性が示された。研究チームは、材料を綿密に設計することで、より安全で充電が速く、寿命の長い電池を開発できるとしている。
さらに、同じ材料がナトリウムイオンも貯蔵できることを確認した。これは、将来の低価格なナトリウムイオン電池の開発に道を開く成果である。COFを合理的に分子設計することで、イオン輸送、電荷貯蔵、構造安定性を同時に最適化でき、低コストで急速充電が可能な耐久性の高い有機電池電極を開発する有効な戦略になるという。また、持続可能なエネルギー貯蔵技術の重要課題に取り組むIACSとSNBNCBSの学際的連携の強みも示した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部