2026年09月
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ハイエナの巣穴に残る獲物の歯から120万年前の多様な景観を復元 パキスタン

米国のアリゾナ大学などの研究チームは、パキスタン北西部のシワリク丘陵にあるハロ川採石場(HRQ)で見つかったハイエナの獲物の歯を分析し、約120万年前の同地が一様な乾燥草原ではなく、草原、樹木の茂る区画、河川沿いの回廊、季節的に湿潤な場所からなるモザイク状の景観だったと発表した。科学誌nature indiaが8月6日に伝えた。

100万年以上前、シワリク丘陵には現生のヒョウほどの大きさの巨大短顔型ハイエナが生息し、獲物を巣穴へ運んで子に与えていたとみられる。研究チームは、約40年前に発掘され、米国のフロリダ自然史博物館に収蔵されているシカ、ウシ科動物、ブタ、ヤマアラシ、ハイエナなどの化石103点について、歯のエナメル質に含まれる炭素と酸素の安定同位体を分析した。

樹木や低木は光合成にC3経路、熱帯性草本はC4経路を使うため、食べた動物の組織には異なる炭素の特徴が残る。分析の結果、Bos属やBubalus属などのウシ科動物はC4植物を食べ、シカは草本と森林性植物の両方を食べていた。ブタとヤマアラシはC3植物を食べており、より湿潤で日陰の多い環境の存在を示した。

米国のアリゾナ大学の主任研究者アヌバヴ・プリート・カウル(Anubhav Preet Kaur)氏は、従来考えられていた広大な乾燥熱帯草原ではなかったと指摘した。インドのパンジャブ大学のラジーヴ・パトナイク(Rajeev Patnaik)氏は、HRQのデータはインドとパキスタンの東西で環境が分かれていたとする説を支持せず、標本抽出法や分析法の違いが影響した可能性を示した。HRQは、約100年という短期間に形成された、シワリクで唯一知られる撹乱を受けず年代が明確な前期更新世の化石骨層である。

成果は、初期人類がアフリカからアジアへ移動した際、連続するC4草原を通ったとする「サバンナスタン」仮説にも関係する。英国のエクセター大学のロビン・デネル(Robin Dennell)氏は、この仮説はアジア全域が一様なサバンナだったことを意味しないと説明した。米国のフロリダ自然史博物館のアドヴァイト・ジュカール(Advait Jukar)氏は、「こうしたサバンナは、モンスーンの強さや氷期の厳しさの変化に伴い、現れたり消えたりした可能性があります」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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