2026年10月
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単一の反転操作のタイミングで量子もつれの突然死を回避 インド

インド科学技術省(MoST)は9月7日、インド科学技術庁(DST)傘下のラマン研究所(RRI)、カナダのカルガリー大学、米国のルイジアナ州立大学の研究者らが、適切なタイミングで1回の反転操作を行うことで量子もつれの突然死を遅延、回避できることを実証したと発表した。研究成果は学術誌Physical Review Aに掲載された。

図1 量子もつれ状態にある2粒子の模式図。両者が異なる環境に置かれていても、一方に対する操作はもう一方にも同じように影響する。

量子もつれは、遠く離れた粒子同士の状態が絡み合う性質で、量子系の重要な資源である。しかし、粒子が環境と相互作用して励起状態から基底状態へ減衰すると弱まり、減衰が完了する前の有限時間内に突然消失する場合がある。この現象は「量子もつれの突然死」と呼ばれる。

図2 量子もつれは、環境中のノイズによって時間とともに弱まったり減衰したりするほか、突然消失することもある。

研究チームは、光子の垂直偏光を励起状態、水平偏光を基底状態とみなし、波長板で偏光を変えて2準位系の減衰を模擬した。自然な減衰に任せる代わりに、基底状態と励起状態の占有数を入れ替える反転操作を1回行ったところ、操作のタイミングによって、励起状態から基底状態への減衰を遅らせたり、量子もつれの突然死を遅延、回避、あるいは早めたりできた。ハードウェアを変更せず、量子コンピューター内の壊れやすい量子リンクを長く維持するのに役立つ可能性がある。

実験結果は、量子系が環境へ情報を失う仕組みを説明する教科書的な2つの標準モデルのいずれにも当てはまらなかった。理論研究者らが約1年間検討した結果、実験は、2つの枠組みの中間を連続的につなぐ曲線上に正確に位置していた。さらに、単一の実験系が、選択した調整パラメーターに応じて両方のノイズモデルとその中間にあるすべてのモデルを表せることが分かった。

RRI量子情報・量子計算研究室(QuIC)のグループリーダー、ウルバシ・シンハ(Urbasi Sinha)上級教授は「タイミングは単なる実験上の細部ではなく、制御のための資源になり得ます」と述べた。筆頭著者で同研究室の量子科学者サウミヤ・ランジャン・ベヘラ(Saumya Ranjan Behera)氏は、減衰のどの時点で反転操作を行うかにより、突然死を回避、遅延、促進するかが決まると説明した。

図3 操作を行うタイミングによって、量子もつれの減衰を制御できる。
(出典:いずれもPIB)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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