インドの生態学者や自然保護活動家約190人は、2026~27年の「スーパーエルニーニョ」に備え、その影響を把握するため、生態系全体にわたる監視網への支持を呼びかけた。科学誌nature indiaが9月22日に伝えた。
研究者らは同業者、資金提供者、政府機関に海洋・淡水・陸上の生態系を調べる取り組みの強化を求めた。資金提供者には計画承認の迅速化、中央省庁や州森林局には現場活動の支援を訴える。インド気象局はエルニーニョの影響が2027年3月を超えて続く可能性も警告する。インドでは高温・乾燥、弱いモンスーン、海洋熱波が見込まれるが、影響はインド洋ダイポール現象にも一部左右される。
2023~24年のエルニーニョでは、研究者やダイビングセンター、市民の観察者がインド洋海域の5地域で大規模なサンゴ礁の白化を記録した。調査結果は学術誌Coral Reefsに掲載された。海水の熱の蓄積量が多いほど白化は激しかったが、地域差から影響を一律には予測できなかった。ラクシャディープ諸島では中程度の熱ストレスでサンゴ被覆の最大37%が白化または死滅した。同程度の熱にさらされたアンダマン諸島のマハトマ・ガンジー海洋国立公園では、死滅したサンゴは11.5%であった。
インド南東岸沖のポーク湾では、通常は影響を受けやすいミドリイシ属の群体で白化または死滅したのは13.6%であったのに対し、通常は丈夫なハマサンゴ属の群体では61.8%が死滅した。ただし、採取方法の違いや標本数の少なさから、特に同湾の結果は探索的なものだ。ベンガルールの自然保護財団のローハン・アーサー(Rohan Arthur)氏は、地域的な海洋の作用がアンダマン諸島の礁に耐性をもたらした可能性を指摘し、仕組みの研究と継続的な監視が必要だと述べた。
アジム・プレムジ大学のハリニ・ナゲンドラ(Harini Nagendra)氏は、予想どおりのエルニーニョが起きなくても、異常を見逃さないため2026~27年に同じ手順でデータを集める意義を指摘した。国立生物科学センターのウマ・ラマクリシュナン(Uma Ramakrishnan)氏は、野生動物への熱ストレスを調べるため、気象観測所の設置・修理と基礎調査の再実施を提案した。エルニーニョ後も監視を続ければ、生態学的な変化が一時的か長期的か評価できると述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部