UAE、韓国に300億ドルを投資-韓国企業のUAE進出ブーム

2023年1月26日 アジア・太平洋総合研究センターフェロー 松田侑奈

1月15日、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は、UAE訪問中の韓国の尹大統領と首脳会談を行い、韓国に300億ドルを投資する旨を伝えた。これらの投資金は主に、水素、再生可能エネルギー、防衛産業、原子力などの産業に使われる見込みで、これを機に新産業、保健医療、文化産業などでも協力を強化していく予定と明かした。首脳会談後、両国は両首脳の臨席の下で原子力とエネルギー、投資、防衛産業、気候変動分野などで13件の了解覚書(MoU)を締結した。

1月16日、尹大統領はUAEで開催された「韓―UAEビジネスフォーラム」にも参加したが、前日の政府間のMoUに続き、両国企業間のMoU24件が追加で締結された。主にバイオ、スマートファーム、メタバース、デジタル転換等に関する分野であり、61億ドルの規模となる。会場にはビジネスフォーラムと並行で、両国企業間の1対1の輸出・投資コンサルティングの場が設けられ、単なるビジネスネットワーク推進を超え、投資の誘致や輸出契約などの成果に繋がるきっかけとなった。フォーラムには、UAEバイヤー105社と韓国企業36社が参加し、257件の輸出・投資コンサルティングが行われ、1,100万ドルに相当する契約が結ばれた。

尹大統領にとってUAEは新年初の海外訪問先であり、韓国大統領がUAEを国賓訪問するのは、1980年の修交以来初となる。尹大統領は、初の国賓訪問を果たせたのは、両国関係発展に関する強い意志があったからこそだと強調しつつ、「今回の会談を通じ、エネルギー、原子力、投資、防衛産業という4大分野での協力はもちろん、その他の新産業でも戦略的協力を強化し、両国の関係を特別戦略的パートナー関係に発展させていきたい」とコメントした。

首脳会談後は、国賓午餐会が開かれたが、サムソン電子、現代自動車、SK、GSエネルギーの各会長ら韓国を代表する大手企業の代表が数多く参加し、これからの韓国企業のUAE進出ブームを予告するものであった。

尹大統領は17日、UAEに続きスイスを訪問した。現地の同胞歓談会で「今年は韓国・スイスの修交60周年であり、これを機に、両国の科学技術協力を更に強化していく予定」とコメントした。米中摩擦というグローバル環境の中、韓国は米中への依存度を減らし、両国以外の国と協力を強化していくための模索を続けている。

尹大統領がスイスを訪問している間、科学技術情報通信部の次官は、韓国―ベトナム科学技術研究院(V―KIST)の竣工式に参加した。このように東南アジア、中東諸国との科学技術協力が目立ち始めている韓国だが、果たしてこのチャンスを生かし、新たな科学技術発展を見せられるのか、期待が集まる。

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