空気中に浮遊するウイルスを50分以内にサンプリングして検出することが可能なキットが韓国のチームによって開発された。
AsianScientist― ラボにサンプルを提出 しなくても空気中のウイルスを検出できる使い捨てキットを韓国の研究グループが開発し、ACS Sensors誌に発表した。
ソーシャルディスタンスやマスクの習慣がCOVID-19の蔓延の抑止に役立ってはいるものの、公共の場、特に換気の行われない空間でSARS-CoV-2ウイルスが存在しないことを保証することは依然として困難だ。空気中の病原体を検出する検査法はいくつかあるが、注意点も少なくなかった。
従来なら、 病原体検出の検査 は、現場から空気のサンプルを採取した後、 そのサンプルをラボに提出し、特定の微生物の有無について一つ 一つ分析を行う。これらの分析には数時間を要 し、中には数日かかるものもある。現場で分析する技術はすでにいくつかあるが、そ れらの方法は通常、特定の病原菌を識別できず、合間に洗浄を行う必要もある。
このような制約があることから、 研究者たちは空気中の病原体をサンプリングするためのより効率的で優れた方法を模索している 。その取り組みの一つが、韓国科学技術院(KIST)と光州科学技術院(GIST)の共同研究チームによるものだ。
KISTのイ・ジュンソク (Lee Joonseok)准教授とGISTのキム・ミンゴン (Kim Min-Gon)教授が率いる研究チームは、使い捨てキットを使い、現場で空気中のウイルスを簡単に収集して検出する統合プラットフォームを開発した。キットを使用したサンプルの採取と検出は、洗浄の必要がなく、所要時間はわずか50分ほどだ。
このプラットフォームは妊娠検査に似ており、空気中のウイルス粒子をガラス繊維のパッドに集めて濃縮することで機能する。次に、毛管現象によってウイルスが検出ゾーンに流れ込み、粒子がウイルス特異的抗体と結合したナノプローブに結合する。
一度結合されると、個別の近赤外信号が出て、それがリーダーによって検出される。これにより、プラットフォームは、サンプルに同時に存在する可能性のある複数の種類のウイルスを簡単に識別できる。
空気中に浮遊するウイルスは一般的に通常、空調の使用、温度、湿度などに影響される。こうしたことから、研究チームはキットを制御された方法でテストするための人工チャンバーシステムを作成した。
同研究チームはこのシステムを用いて、広い空間から採取した鳥インフルエンザウイルスH1N1をサンプリングし、ファイバーパッド内で100万倍以上にウイルスを濃縮し、検出ゾーンの表面に付着したウイルスの約82%を回収することを可能とした。
「このプラットフォームは、現場で採取したサンプルの即時分析をサポートし、COVID-19ウイルスのような空気中に浮遊する生物学的危険物質を識別するための屋内大気汚染モニタリングシステムとして導入することができます」
イ准教授はこのように期待している。