2021年04月
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「伸縮性や耐火性を付加」韓国研究グループ、パテ状ガリウムへ変換し成功

韓国の研究グループが液体ガリウムをパテ状に変換する新たな方法を発明した。これにより素材の性質が変わり、使い勝手が向上するという。

AsianScientist - 韓国の研究チームはこの発明について、各種ガリウムの複合体とそれを形成するメカニズムなどについて科学誌Science Advancesに発表した。

 ガリウム(Ga)は軟性の金属で、主に半導体やトランジスタに使われ、現代のエレクトロニクスには欠かせない素材となっている。2014年には日本人研究者3人が、窒化ガリウムを主成分とする青色発光ダイオード(LED)の発明でノーベル物理学賞を受賞した。ガリウムやガリウム合金は、熱伝導や導電性に優れており、ガリウムの商業需要の98%が半導体などのエレクトロニクス産業で担われている。

水銀と同じように、ガリウムは30℃以上の温度では液体だ。しかし、純ガリウムとガリウム合金はいずれも表面張力が高いことから、表面全体に広がる性質に限界が生じる。ガリウムの形状を整えたり、加工したりすることが難しく、電子機器以外の用途には広がりにくい難点があった。

そのような問題に対処するために、韓国の基礎科学研究院(IBS)と蔚山(ウルサン)科学技術大学校(UNIST)のチームは、利便性の高いガリウムの複合材料の合成を目指し、新たな方法を発明した。それはフィラー(混ぜ物)を加えることでパテ状になることが分かり、これにより液体ガリウムの取り扱いが従来よりも容易となった。
「十分なサイズの粒子を使用しなければ、混合に成功せず、複合材料を形成できないことが分かりました」と論文の共著者、IBSのベンジャミン・カニング(Benjamin Cunning)博士は説明する。

研究では、フィラーとして酸化グラフェン、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、グラファイトという4つの異なる材料を使用した。特に還元型酸化グラフェン(rG-O)とダイヤモンドを液体ガリウムに組み込むと、優れた特性を示した。Ga/rG-Oコーティングを施すことで、フィルムや紙などの材料のシールド効率が70dB以上に向上し、電磁波の吸収性も上昇した。これらの新材料は、電磁干渉から電子機器を保護することに応用できる。

また、ダイヤモンド粒子を材料に組み込むと、熱伝導率の高い複合体が得られた。この複合材料の熱伝導率は、市販のサーマルペーストの熱伝導率を50%以上も上回った。著者らによれば、これは、ガリウムとダイヤモンドの混合物が固体表面間の熱を伝える熱界面材料として有効である可能性を示した。

最終的に同グループは、ガリウムと、シリーパテ(Silly Putty)として知られるシリコンパテとの合成を試験した。その結果、得られた材料は純ガリウムに比べて、伸縮性があり、打ち延ばすこともできる素材に変化した。

試験された各種のガリウム組成物は、さまざまな用途に応用可能だ。例えば、バイオメディカルのインプラントやウェアラブルのデバイスに搭載する、柔らかくフレキシブルな電子デバイスに使用できる。著者らによると、ガリウム複合材料は1分間のトーチランプでも耐えられる性質をもち、浸透性のある発泡体のような材料にも成形できるという。

IBSの多次元炭素材料センター長、ロドニー・ルオフ(Rodney Ruoff)教授は「私たちは、液体ガリウムに多種多様な粒子を取り込むことができることを発見し、粒子の大きさがどのように合成を成功させる役割を果たしているのかについて基本的理解を得ることができました。私たちの研究が他の研究者たちを刺激し、新しく機能的なフィラーが発見され、応用されることを願っています」と話している。

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