韓国科学技術院(KAIST)は5月6日、同院の研究チームが、1兆個のエッジ(辺)を持つ大規模グラフのアルゴリズムを1台のコンピューターで処理できるシミュレーション技術「兆規模グラフ処理シミュレーション(Trillion-scale Graph Processing Simulation: T-GPS)」を開発したと発表した。
兆規模グラフ処理シミュレーション技術「T-GPS」 提供:韓国科学技術院
従来の手法では(1)実世界のデータに基づくグラフを基に疑似的に合成したグラフ(synthetic graph)を生成してディスクに保存し、(2)保存したグラフをグラフ処理エンジンのメインメモリに読み込むという2段階の手順を踏んでいた。これに対し、T-GPSは実世界のデータに基づくグラフを直接メインメモリに読み込み、生成された大規模グラフがメインメモリに存在するかのようにアルゴリズムを処理することで、(1)と(2)の手順を省きながら従来の手法と同じ結果を返すことができる。
また、従来の手法では10億エッジのグラフを処理するのに11台のコンピューターが必要であるが、T-GPSでは1兆エッジのグラフを同スペックのコンピューター1台で処理できるため、計算リソースが約1万倍に増える。また、アルゴリズムの処理速度も43倍に向上する。
この技術を開発したコンピューティング学部のキム・ミンス(Min-Soo Kim)教授は、「T-GPSにより、新しいグラフアルゴリズムを開発する際の規模と効率性を大きく向上させることができる」と話している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部