韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は5月20日、スピンゼーベック効果(spin Seebeck effect:SSE)を利用して熱から電力を取り出す、高効率な熱電変換装置の設計に成功したと発表した。
研究は同大学機械工学部のジン・ヒョンギュ(Jin Hyungyu)教授らが率いる共同研究チームによるもので、エネルギー分野の国際的学術誌Energy and Environmental Scienceのオンライン版に論文が掲載された。
熱電変換は地熱や廃熱、人間の身体から発生する熱、太陽熱等の熱エネルギーから電力を作り出せるカーボンフリー(温室効果ガスを発生させない)な発電技術として注目されている。本研究では、スピン流を利用した熱電変換効果であるSSEを用い、従来の熱電変換装置よりも大幅に構造が単純な、ニッケルフェライトと白金の二層から成る装置を作成した。また、装置の変換効率を向上させるための熱処理方法も開発している。これまで基礎研究にとどまっていたSSEを利用した次世代の熱電デバイス開発の可能性を示した点で画期的な研究となる。
ジン教授は「この研究を基に高効率な熱電変換装置が開発されれば、エネルギーと気候に関する課題解決に役立つ可能性がある」と、将来の活用拡大に期待を表明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部