2021年07月
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鳥インフルエンザの「グリーンワクチン」を開発 韓国POSTECH

浦項工科大学校(POSTECH)は6月18日、植物を原料とし、アジュバント(補助剤)を必要としない鳥インフルエンザの組み換えタンパクワクチンを開発し、強力な免疫反応を確認したと発表した。

鳥インフルエンザ グリーンワクチン製造の模式図

遺伝子組み換え技術を用いて作成する組み換えタンパクワクチンは不活化ワクチンや生ワクチンと比較して生物安全性と特異性に優れているが、免疫原性の弱さや生産コストが課題であった。

そこで、同校生命科学科のファン・インファン(Hwang Inhwan)教授らは慶尚大学校(Gyeongsang National University)の研究者、バイオ医薬品企業のバイオアプ(BioApp)と共同で、植物を原料とする「グリーンワクチン技術」を使用し、さまざまな鳥インフルエンザウイルスに対応する多価ワクチンを開発した。

本研究では植物細胞を用いて作成したタンパク質三量体(tHA)を不活性化したラクトコッカスの表面にコーティングすることで、抗原を運ぶ、細菌に似た粒子(bacteria-like particle)を作ることに成功した。これをマウスとニワトリに投与したところ、アジュバントなしで強い免疫反応が得られた。また、2価ワクチンの投与でも、両方の抗原に対して強い免疫反応が得られたという。

このワクチンは短期間で製造でき、経済面と安全面にも優れている。特許出願済みで、中国や東南アジアの市場を視野に商用化が進められている。

ファン教授は「インフルエンザでは複数の株が同時に現れるが、この多価ワクチンはこうした複数の株に対応できる」と話している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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