汗が消えた!研究者らは新しい技術を使用して、皮膚の水分を迅速に取り除くウェアラブル・バイオセンサー用の多孔質膜を製作中である。
AsianScientist ― 韓国の科学者によると、開発中の快適性と通気性が強化されたウェアラブル・デバイスを使えば、汗をかくことはない!小さな細孔を備えた薄いシリコーンパッチを生成する新しい調製技術の詳細は、Scientific Reportsに発表された。
「ウェアラブル・バイオエレクトロニクスは、体温、心拍数、エネルギー消費量についてはもちろん、ホルモンやブドウ糖など汗に含まれる生物学的化合物のモニタリング用にも関心を持たれるようになってきています」
「しかし、現在利用可能な材料は皮膚を刺激するので、科学者たちはそれらを改善する方法を探しています」
韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology:KAIST)の研究リーダーであるチョ・ヨンホ(Cho Young-Ho)教授はこのように話す。
通常、製造業者は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)と呼ばれるシリコン系化合物を使用して取り付け可能なバイオセンサーを製造する。PDMSは他の材料と比較して水蒸気透過速度が高いためである。ただし、この透過速度はまだ皮膚の水分蒸発速度よりも遅いため、汗がバイオセンサーの下に閉じ込められて不快感を感じさせることが多い。
ウェアラブル・バイオセンサーを原因とする赤みとかゆみを軽減するために、チョ教授と同僚らは、皮膚から汗をすばやく逃がすシリコン系の薄いパッチを製造する新しい技術を開発した。パッチには、PDMSを使いクエン酸を結晶化し、アルコールを使用して得られた結晶を除去することによって形成された小さく均一な小孔が点在している。
費用がかかりすぎる、複雑である、またはムラができるといった従来の小孔形成方法とは異なり、チョ教授のチームによって開発された技術は非常に低価格で済み、他の方法と比較して小孔は約93%小さく、大きさの均一性は425%高い。
さらに重要なことに、パッチは人間の皮膚の2倍の速さで水蒸気を透過させ、閉じ込められた汗を原因とする刺激を和らげる。チームは 人間の皮膚でパッチを1週間テストした。その後、従来の非多孔性PDMS膜と比較して、パッチはわずかな赤みのみを引き起こし、かゆみはまったく起こらなかったことが分かった。
チョ教授は「私たちの方法は、毎日の生理学的信号のモニタリングに使用される皮膚に取り付け可能なデバイス用の多孔質PDMS膜を製造するために利用できます」とし、「私たちは、次に、皮膚への取り付けや取り外しが簡単になるように、膜を変えてみるつもりです」と期待を込めた。