2021年11月
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太陽光と水のみを用いた光触媒で硝酸イオンを窒素に還元 韓国POSTECH<

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)の研究者が、太陽光と水のみを用いて硝酸イオンを窒素に変換する、世界初の光触媒材料を開発した。10月11日に発表した。この研究の成果は英国王立化学会(Royal Society of Chemistry:RSC)が発行するジャーナル Energy & Environmental Science に掲載、RSCの科学雑誌 Chemistry World でも取り上げられた。

(提供:POSTECH)

肥料や排水に含まれる窒素化合物が河川や湖に流入すると、藻類やバクテリアの異常発生(ブルーム)を引き起こし、水質汚染の原因となる。この現象の有効な予防策として、硝酸イオンを無害な二窒素(dinitrogen)に変換して水中の無機窒素残留物を除去する脱窒(denitrification)システムが研究されている。

従来の脱窒プロセスは大量のエネルギーを必要とし、水素ガス、メタノール、ギ酸等の還元剤を用いる。太陽光を利用する試みはなされていたものの、その大半は還元剤を使用していた。

そこでPOSTECHの環境科学・工学科のチェ・ウォンヨン(Choi Wonyong)教授とイ・シンビ(Lee Shinbi)博士候補らは、未解決の課題であった、水を還元剤として用いる方法の開発に取り組んだ。

研究チームは、二酸化チタン(TiO2)、二元金属(bimetallic)(Cu-Pd)ナノ粒子、酸化グラフェン(rGO)で構成される光触媒を合成した。この光触媒ではさまざまな構成要素の相乗作用により、その場で水分解から水素ガス(H2)が生成され、硝酸イオン(NO3-)から窒素(N2)への還元に用いられる。この触媒を用いたところ、化学還元剤を一切用いずに、濃度600ppmの硝酸イオンを100%近い還元率で還元することに成功した。

この研究は韓国研究財団(NRF)の助成を受けて実施された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部