2021年12月
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地方のAI活用促進に向けた計画を発表 韓国MSIT

韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は11月1日、人工知能(AI)の利用を全地域で促進するための政府の方針を、17の地方自治体・公的機関と共同で発表した。デジタルトランスフォーメンションを加速し、新型コロナウイルスの打撃を受けた地方経済を再活性化するための共同プロジェクトの実施を目指す。

MSITが打ち出した方針の概要は以下の通り。

1. ビジョンと戦略

このAI促進計画は「国民のため、AIをすべての地域に」をテーマとし、具体的には、1)光州広域市のAIクラスター地域をAIイノベーションの拠点として活用、2)各地域の特性や強みを踏まえた大規模プロジェクトを計画、3)各地域の主要産業の革新に向けたAIの幅広い利用およびAIとのコンバージェンス(融合)、等の計画を含む。また、政府は地方のさまざまなAI事業やプロジェクトを結び付け、地域間の連携を促進することを目指す。

2. 各地域のコミットメント

  1. 全羅道:インフラの増強や大規模データとクラウドの接続を通じ、革新的AI製品・サービスのワンストップ拠点を目指す。
  2. 忠清道:主要プロジェクトは「AIコンバージェンスに関する大規模研究開発」。バイオテクノロジーを含む領域のAIコンバージェンスを支援する。
  3. 慶尚道:主要プロジェクトは「ロジスティクスと製造のクラスターの形成」。工業団地のデジタルトランスフォーメーションを促進する。
  4. 江原道:主要プロジェクトは「医療データを用いた革新的デジタルサービスの拡大」。安全なデータの処理・使用環境の構築や僻地の人々を対象としたデジタル製品の開発を促進する。
  5. 済州特別自治道:主要プロジェクトは「新AI技術の試験用エコシステムの育成」。他地域で開発されたAI技術の試験場として機能することを目指す。
  6. 大都市圏:地方に比べAIインフラが整備されている大都市では、政府が制度面の変更を支援し、民間部門が主導するAIのグローバル化の拠点となることを目指す。

3. 将来の計画

地方自治体は各地域の要望を考慮したプロジェクトを立案し、MSITは助言、予算、調整等の支援を提供する。各道・地域で大規模な主要プロジェクトを立案し、2022年に予算を確保、または実行可能性調査を実施することを目指す。その他、AI専門家の育成や各地域の主要プロジェクトの実行に向けた拠点の指定も計画している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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