2021年12月
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機械学習と光音響技術を用いた迅速な術中病理組織診断手法を開発 POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は11月2日、同校のキム・チュルホン(Kim Chulhong)教授らと嘉泉大学校医学部(Gachon University College of Medicine)の共同研究チームが、手術中に迅速に組織診断を行える、機械学習を用いた非標識(label-free)病理組織診断装置を開発したと発表した。この研究の成果は学術誌 Laser and Photonics Reviews に掲載され、中表紙に選ばれた。

がんの切除手術中に行う病理組織診断は、腫瘍部位の確定に不可欠である。従来は凍結切片を用いた診断方法が使用されていたが、手順の複雑さにより、手術時間の延長や解釈の誤りを招くおそれがあった。

こうした欠点を克服するため、研究チームは、1軸微小電気機械システム(microelectromechanical systems: MEMS)スキャナーを使用した高速反射モード紫外線光音響顕微鏡システムを用い、凍結、薄切、染色などの複雑な手順を回避できる診断手法を開発した。チームはこの手法を用いてマウスの細胞核とヒトの組織を可視化し、さらに、実際のがん患者から切除した臨床標本を用いて病理組織診断の結果を定量化することに成功した。

キム教授は「この顕微鏡システムは、術中組織診に要する時間を劇的に削減し、手術と治療の安定性と信頼性を向上させられる可能性がある」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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