2021年12月
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光を利用した新しい信号処理法を開発 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)のヒーデュク・シン(Heedeuk Shin)教授らの研究チームは11月2日、シリコンチップ上で光学的に駆動する音響波を用いて光波信号を増幅・相殺できることを実証した。

(提供:POSTECH)

光信号処理は、電子信号処理に比べて発熱が少なく、光の高速性を利用できる新しい手法として注目されている。しかし、これまでの研究成果は、単純な音響波の発生と光の散乱を測定するのみにとどまっており、信号処理やセンシングへの応用には、光学的に駆動する音響波の制御を可能にし、光信号処理の実現性を示すことが必要であった。

これに対して研究チームは、シリコンチップ上で発生する音響波の干渉を利用したアクティブな光信号処理法を提案した。この手法では、まず人間の髪の毛の100分の1よりも薄い3本の光導波路を、ナノ加工によってシリコンチップ上に並べて作製する。次に、2本の光導波路に光の力で音波を発生させ、3本目の光導波路に音波が到達するまでの時間を制御することで、2つの音波を干渉させる。そして、シリコンチップ上で音響波の建設的干渉と破壊的干渉の間でマイクロ波信号が増幅・相殺される様子を、1万倍以上のコントラストで観測した。さらに、パルス信号の強度を調整できることも示した。

シン教授は、この研究を通じて、光信号処理とセンシング技術の新たな方向性を提示し、オプトメカニカルシステムへの新たな応用を期待している」と研究の意義を述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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