2022年01月
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システム生物学の手法で薬剤抵抗性の乳がん細胞をリプログラム 韓国KAISTが発見

韓国科学技術院(KAIST)の研究者が、数理モデルを用いて、乳がんのサブタイプのうち最も悪性度が高い「基底細胞様型(Basal-like)」を、ホルモン療法の効果が出やすい「ルミナルA型(luminal-A)」に変える方法を発見した。2021年12月7日に発表。この研究成果は学術誌 Cancer Research に掲載された。

(提供:KAIST)

システム生物学を研究するチョ・クァンヒュン(Cho Kwang-Hyun)教授らは、遺伝子、タンパク質、分子を点(dot)、これらの相互作用を線(line)として表現する数理モデルに癌や患者のデータを入力し、シミュレーションを行った。さらに実際の乳がん細胞を用いた実験により、遺伝子制御因子のBCL11AとHDAC1/2を阻害することで、基底細胞様型のシグナル伝達経路をルミナルA型のシグナル伝達経路に変更できることを発見した。これにより、がん細胞をリプログラムできることが分かった。今後、動物モデルやヒトでの効果を検証する試験が必要であるという。

チョ教授は「本研究により、システム生物学のアプローチが新しい治療標的の同定に役立つことが示された」と語る。

研究チームはこのネットワークモデルを拡大し、乳がんの全てのサブタイプを含めようと試みている。最終的には、より多くの治療薬の標的を同定し、薬剤抵抗性の細胞を薬剤感受性のある細胞に変化させるメカニズムを解明することを目指している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部