韓国の韓国科学技術院(KAIST)は2月15日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとそれに伴うロックダウンにより消費者の関心がビデオプラットフォームへと向かい、音楽ストリーミングサービスの消費が大幅に減少したことが分かったと発表した。この研究の成果は学術誌 Marketing Science に掲載された。
論文著者の1人、KAISTの博士候補生シム・ジェウン(Sim Jaeung)氏によると、2020年3月11日に世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言して以降、オーディオ配信の音楽サービスの消費量(audio music consumption)は平均して12%以上減少したという。同氏はこの結果について「人の移動が、オーディオ音楽の消費にとってこれまで考えられていた以上に重要な役割を果たしていることを示した」と分析する。
(提供:KAIST)
シム氏とチョ・デゴン(Cho Daegon)教授は米国の研究者と共同で、60カ国における2年間の人気曲のオンラインストリーミングに関するデータと、COVID-19感染者数、ロックダウンに関する統計、毎日の人の移動に関するデータを調べ、変化の性質を明らかにした。
パンデミックによりオンラインメディアプラットフォームは全般的に利益を得ていると考えられがちだが、この研究により、音楽ストリーミングサービスは不利益を被っていることが明らかになった。この結果は、メディア消費環境の変化によって、音楽ストリーミングが、より動的で鮮烈な体験を消費者に提供するメディア形式との厳しい競争を強いられることを示唆した。
一方、ビデオプラットフォームを通じた音楽の消費量は、COVID-19の深刻さ、ロックダウン政策、自宅で過ごす時間と正の関連を持つことが判明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部