AsianScientist-(2022年02月14日)- 安全な建築物を作るために、韓国の科学者らは、水がガラス窓のひび割れをどのようにして悪化させるのか解明した。
韓国の研究者らは、水と湿気は、強化ガラスと焼きなましガラスの表面の亀裂を悪化させ、小さな傷であっても大きな亀裂に変える可能性があることを Journalof the European Ceramic Society 誌に発表した。この研究結果を利用して、安全でより良い建設方法を探ることができるかもしれない。
建物のガラス窓は、風、雨、その他の粒子に打ち付けられると、表面に微小な亀裂が入ることがよく起こる。たとえば、突風が窓に向かって端が鋭い砂の粒子を飛ばし、小さな傷ができる場合がある。最初の影響は小さく、肉眼では見えないこともあるが、水滴や大気湿度によって亀裂が広がったり、深くなったりすることがある。
環境により大きくなった亀裂は応力腐食または亜臨界亀裂成長 (SCG) と呼ばれ、ガラス構造の機械的強度を低下させる可能性を持つ。その結果、ガラスはさらに損傷しやすくなり、高層ビルの安全性は危うくなる。
SCGについてさらに知るために、韓国の釜山国立大学の研究チームは、ガラス表面の水による亀裂挙動を調査した。過去の研究では、焼きなましガラスの亀裂の延長や広がりの速度について焦点が当てられていたが、チームは、亀裂伝播に対する水の影響について焼きなましガラスと強化ガラスの比較を初めて行った。
チームは材料の硬度を試験するための機器であるビッカース圧子を使用してガラス表面に人工の微小な亀裂を生成し、サンプルを大気湿度と水に曝露させた。驚くべきことに、水により発生した焼きなましガラスのSCGは、強化ガラスに比べて亀裂を相当長くした。
次に、サンプルを水に24時間浸すと、強化ガラスには横方向の亀裂が形成され、水の侵入の兆候が表れた。 一方、焼きなましガラスは放射状の亀裂を示した。これは通常、中心点に高い応力があることを示し、割れ目は外側に向かって伸びていく。水が亀裂に浸透すると、ガラスネットワークを作っている化学結合が溶解し、構造の強度が低下する。
この研究により、割れたガラスに対し水が亀裂を大きくする方法について新しいことが分かったが、チームは、さまざまな割れ挙動の背後にあるメカニズムをさらに調査する必要性があると強調する。 チームはこの研究成果が、ガラスの設計者や技術者にとって、ガラス外装の飛散を最小限に抑える介入策の考案に役立つものであることを期待している。
責任著者のパク・サンフー (Park Sang-Hu) 教授は、「地球温暖化により台風や暴風雨が増加しました。そのため、ガラス窓の外側を保護する新しい方法を見つける必要があります」と話している。