韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は3月10日、同大学の研究チームが、眼科疾患を予防および治療できるコンタクトレンズ型ウェアラブルデバイスを開発したと発表した。この研究の成果は学術誌 Advanced Science に掲載されている。
Hahn Sei Kwang(ハーン・セイクワン)教授と博士候補生のイ・ジョンフイ(Lee Geon-Hui)教授は、ハーン教授が設立したバイオ医薬品企業PHIバイオメド(PHI BIOMED)と共同で、120マイクロワット(µW)の遠赤外/近赤外発光ダイオード(LED) の光を照射することで、糖尿病網膜症を予防および早期に治療するためのスマートなコンタクトレンズ型ウェアラブルデバイスを開発した。
(提供:POSTECH)
糖尿病の合併症である糖尿病網膜症の治療には、現在、侵襲性が高く大きな痛みを伴う注射やレーザー治療が用いられている。
糖尿病の動物モデルにおいて、週3回15分間の合計8週間このスマートコンタクトレンズを装着した群では、糖尿病網膜症が発生しなかった。一方、レンズを装着しなかった群では糖尿病網膜症の症状が現れた。レンズの安全性と効果は、角膜と網膜の組織学的解析によっても確認された。
研究を主導したハーン教授は「この研究は、酸素飽和度や心拍数、眼科疾患のモニタリングだけでなく、うつや不眠、神経疾患等の治療にもレンズ型のウェアラブルデバイスを利用できる可能性があることを示した」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部