韓国の高麗大学校(Korea University)は4月8日、同校のユ・スンホ(Yu Seung-ho)教授が率いる研究チームが、ソウル大学校(Seoul National University)、西江大学校(Sogang University)のチームと共同で、カリウムイオン二次電池の性能を向上させる新たな負極材料を開発したと発表した。この研究の成果は3月26日、学術誌 Energy Storage Materials に掲載された。
カリウムイオン電池はリチウムイオン電池の代替として有望視されており、その負極材料としては、軽量で化学的安定性に優れた炭素ナノ材料がよく用いられている。しかし、カリウムイオンの挿入(intercalation)と脱離(deintercalation)の間のエネルギー障壁の高さが、高性能化を妨げていた。
ユ教授のチームは、グラフェン構造に窒素と硫黄を添加し、規則的な段状のエッジ(stepped edge)を持つグラフェンナノリボンを作製することで、カリウムイオンのエネルギー障壁を低下させることに成功した。チームは電気化学的分析を用いてこのグラフェンナノリボンの優れた電気化学的性質を検証し、高性能なカリウムイオン電池の負極材料として有望であることを示した。
ユ教授は「グラフェン材料に他の元素を添加することで、カリウムオン電池の負極材料として利用できることを示した。さまざまな元素を添加し、規則的な構造を持つ炭素材料を開発することで、次世代二次電池の性能をさらに向上できる 」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部