韓国の高麗大学校(Korea University)は6月17日、同校の研究チームが、エネルギー変換材料を数秒以内に合成できる技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌 ACS Nano に掲載された。
この技術は、電熱波(electrothermal wave:ETW)プロセスに基づき、欠陥のある炭素構造を利用して「Ni-Co oxide@C(炭素基板上のニッケル-コバルト酸化物)」複合体を合成する。電気エネルギーを炭素基板に与えると、炭素基板の内部抵抗によって熱エネルギーが生成され、前駆体に核形成のばらつき(nucleation variation)が生じる。これにより、必要な用途で最適な性能を発揮できるよう、炭素の欠陥の程度に応じてNi-Co oxide@C複合体の構造的特性と化学組成を人為的に制御することが可能になる。
この研究で用いたETPプロセスは従来の熱合成手法よりも所要時間が非常に短く、システムの温度を数秒以内に最大2,500℃まで上昇させることができる。合成された材料は、電気化学的特性を最適化した後で、エネルギー変換デバイスの活性材料として使用できる。
今回の研究で合成・最適化された複合体は、スーパーキャパシタの活性材料として、先行研究よりも優れた性能を示した。研究グループは、「このプロセスが電気化学的エネルギー貯蔵や発電分野の幅広い用途に利用されることを楽しみにしている」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部