2022年08月
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屋内・屋外両方で利用可能な「IOI GPS」を開発―センサー融合位置測定アルゴリズム 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は7月8日、ハン・ドンス(Han Dong-Soo)教授の研究チームが、屋内・屋外の両方で機能する人工知能(AI)を用いたGPSシステムを開発したと発表した。

この「屋内/屋外統合GPS(Indoor/Outdoor-Integrated GPS:IOI GPS)システム」は、屋外ではGPS信号を使用し、屋内では慣性センサーや圧力センサー等、複数のセンサーの信号を使用して位置を推定する。チームはさまざまなランドマーク検出技術を歩行者自律航法(pedestrian dead reckoning:PDR)システムと組み合わせて、「センサー融合位置測定アルゴリズム(Sensor-Fusion Positioning Algorithm)」を開発した。

これまでGPS信号が届かない場所では、無線LAN信号や基地局からの信号に基づいて位置を推定する方法が一般的であった。IOI GPSは、屋内・屋外の両方で機能する汎用的なGPSシステムを使用し、信号も屋内マップもない建物内でも位置測定を可能にする。

研究チームは上記のアルゴリズムを組み込み、信号やセンサーのデータを処理するチップを搭載したIOI GPS用の回路基板も作成した。

KAISTキャンパスの建物内で実施したこの基板の試験では、95%の正確度で階数を推定し、3~6メートルの誤差で距離を推定することに成功した。

チームは現在、この回路基板を用いて、屋内施設での来館者の案内等に利用できるGPSタグの作製に取り組んでいる。また、自動車用のアルゴリズムと基板も開発している。

ハン教授は、「このシステムを応用できる分野は無限にある。今年から開始される韓国補強衛星システム(Korea Augmentation Satellite System:KASS)および韓国GPS(Korean GPS)との統合が完了すれば、韓国は屋内・屋外両方のGPS分野のリーダーになれる」と期待を語った。


(提供:いずれもKAIST)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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