2022年12月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2022年12月

3つの映像を同時表示―メタサーフェスを用いた暗号化ディスプレイ開発 韓国

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は、同大学の研究チームが、偏光を操作することにより、見る方向によって異なる映像を表示できる、メタサーフェスを用いた暗号化ディスプレイを開発したと発表した。11月8日付け。研究の成果は学術誌 Advanced Science に掲載された。

メタサーフェスはナノ構造の配列からなるシート状の人工材料であり、光を操作する能力に優れている。しかし、個々のナノ構造は波長よりも小さいため、多くのデータセットを保存することが困難である。また、従来のメタサーフェスは1つのナノ構造につき1つの情報しか格納できず、小型化にも限界があった。

(提供:POSTECH)

こうした課題を克服するため、ロ・ジュンスク(Rho Junsuk)教授らが率いる研究チームは、マリュスの法則(Malus's law)に支配される振幅変調と、幾何学的位相(geometric phase)の操作を組み合わせ、「単一セルによる3チャネルの暗号化メタディスプレイ(single-cell-driven tri-channel encryption meta-displays)」を作製した。このディスプレイは低コストで簡単に製造できる単純な構造を有し、サイズも非常に小さい。チームは、このディスプレイで異なる3つのロゴを表示することに成功した。

POSTECHではキャンパスの一部で、メタバースを実験や授業に活用している。ロ教授は「このメタディスプレイを用いて、同じ教室にいる教授と学生に異なる画面を見せられるよう、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)ディスプレイをカスタマイズできる可能性がある」と展望を語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る