韓国の浦項工科大学校(POSTECH)の機械工学・化学工学部(Department of Mechanical Engineering and Department of Chemical Engineering)のロ・ジュンスク(Rho Junsuk)教授らが率いる研究チームが、湿度に反応して輝度と色を変化させるディスプレイ技術を開発した。
チームはまず、ポリビニルアルコール(PVA)を用いて輝度を調節できるホログラフィック画像を作成した。このホログラフィック画像は、低湿度では鮮明であるが、湿度が高くなるにつれて不鮮明になる。さらにチームは、構造色を自由に調整できるディスプレイを開発した。このディスプレイでは低湿度では画像の色が青色に、湿度が高くなると赤色に変わる。湿度を微調整することで、青と赤だけでなく全てのRGB色を表現できる可能性がある。
この研究は、単一段階のナノインプリンティング技術を用いた画像の生成に成功した点でも注目されている。このディスプレイは1ピクセルが700ナノメートル(nm)と小さく、ナノ構造ディスプレイの中核的技術になると期待されている。
(提供:いずれもPOSTECH)
今回開発された技術は、食品や通貨、パスポート等の偽造対策用のラベルに利用できる可能性がある。チームは韓国造幣公社(KOMSCO)と共同でこの技術の実用化に取り組んでいる。
2022年12月21日付け発表。研究成果は学術誌 Nature CommunicationsとAdvanced Science に掲載された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部