韓国の高麗大学校(Korea University)は1月10日、同校とソウル大学校(Seoul National University)の研究者から成る共同研究チームが、キラルなナノ粒子による光と物質の相互作用に関する新たな物理現象を発見し、キラリティ分析に応用することに成功したと発表した。研究成果は2022年12月15日に学術誌 Nature に掲載された。
分子のキラリティは左右の円偏光と物質との相互作用に基づき決定されるが、この相互作用の大きさが十分でないことから、分析には高濃度のサンプルと長い測定時間を要する。そこで、同校のパク・Q-ハン(Park Q-Han)教授とイ・スンウ(Lee Seung-woo)教授らは、キラルな金ナノ粒子の2次元集合構造で生じる新たな物理現象を発見し、この問題の解決に向けた突破口を開いた。この金ナノ粒子は独自の幾何学的特性により入射する円偏光との共鳴を示す。
チームはこの現象を利用して入射する円偏光とキラル分子との相互作用を最大限に高め、従来の検出限界を超えるキラリティ感度を達成した。このキラリティ分析技術はさまざまな生体分子や化学物質、医薬品に応用でき、物質分析や製薬、基礎科学分野に影響をもたらす可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部