韓国の漢陽大学校(Hanyang University)と忠南大学校(Chungnam University)、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の研究者による共同研究チームが、人間の皮膚のような伸縮性と自己修復性、高度な触覚機能を持つ、イオンの信号伝達を利用する電子皮膚「イオントロニック皮膚(iontronic skin)」を開発した。
ロボットの皮膚やウェアラブル医療機器に使用する電子皮膚には、人間の皮膚のように外部からの強い衝撃に対して自らを修復し、リアルタイムでユーザーの周囲を検知できる機能が必要である。しかし、室温で傷と高度な触覚機能を素早く自己修復できる材料はこれまで実現が困難であった。
研究チームは、人間の皮膚の自己修復機能をモデルとする生体模倣アプローチに基づき、動的なジスルフィド結合官能基と塩素置換基を持つ新たな熱可塑性ポリウレタン材料と人工的なイオンを組み合わせることでこの電子皮膚を開発した。
研究チームを主導したキム・ドファン(Kim Do-hwan)教授はこの研究成果について、「IoT(モノのインターネット)時代における柔軟な触覚インターフェースとして、ロボット皮膚技術やリアルなウェアラブルデバイスのタッチスクリーン、皮膚貼り付け型の診断器具等に利用できる可能性がある」と語った。
2022年12月21日付け発表。研究成果は同年12月13日に学術誌 Nature Communications にオンラインで掲載された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部