2023年02月
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C60フラーレンから炭素の新たな同素体「長距離秩序多孔性炭素(LOPC)」を合成 韓国

韓国の基礎科学研究院(IBS)のロドニー・ルオフ(Rodney S. Ruoff)多次元炭素材料センター(Center for Multidimensional Carbon Materials)長が率いる研究チームが、中国科学技術大学(USTC)と共同で、炭素の新たな同素体「長距離秩序多孔性炭素(long-range ordered porous carbon:LOPC)」を発見した。1月12日付け発表。研究成果は学術誌 Nature に掲載された。

炭素の同素体には、よく知られたグラファイトやダイヤモンドのほか、グラフェンやフラーレンのようなナノスケールの特異な同素体がある。また、負の曲率をもつ理論上の炭素「炭素シュバルツァイト(carbon schwarzite)」を発見することは、炭素材料を研究する科学者らの夢となっている。

USTCチームを率いたヤンウー・チュー(Yanwu Zhu)教授は、「ルオフ(Ruoff)教授から炭素シュバルツァイトへの関心について聞いた」ことが共同研究のきっかけだったと語る。チームはC60フラーレンの粉末を基礎材料として用い、α-Li3N(α窒化リチウム)を触媒としてLOPCを合成した。LOPCは「破れた(broken)C60のケージ」が長距離の周期性(periodicity)により結合された構造を持つ。

論文ではLOPCの重要な側面として、生産の規模拡大が可能である点を挙げている。チュー教授は、キログラム規模への拡大が可能であり、今後、トン規模の生産も可能になるかもしれないと述べている。

今回の研究は、C60を出発物質としてほかの結晶炭素を発見するための新たな道筋を示した。ルオフ教授は「炭素シュバルツァイトではないため挑戦はまだ残されているが、この美しい新たな形の炭素は多くの魅力的な特徴を持ち、新たな方向で炭素材料の可能性を開いた」と語る。

形態学的および構造的特性評価

微細構造の特性評価

シミュレーションとsitu MAS-SSNMR

DOS、NEXAFS、電気伝導度測定
(提供:いずれもIBS)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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