韓国の高麗大学校(Korea University)は1月10日、同校の研究チームが、パーキンソン病の発症に関わるα-シヌクレイン(αS)オリゴマーを選択的に分解する薬物を発見できる、効率的な医薬品スクリーニングプラットフォームを開発したと発表した。研究成果は、学術誌 ACS Applied Materials & Interfaces に掲載され、表紙画像(supplementary cover)にも採用された。
最近の研究により、αSオリゴマーはパーキンソン病等の主な病理学的ドライバー(pathological driver)であることが明らかになった。しかし、これらを用いた医薬品開発には、αSオリゴマーの均質な精製が困難であることや、αSオリゴマーのみを標的とする蛍光色素が存在しないこと、多くのコストと時間を要すること等の課題があった。
同校のユン・デソン(Yoon Dae-sung)教授が率いる研究チームは、αSオリゴマーを表面にコーティングした金ナノ粒子を用いて、αSオリゴマーを選択的に分解できる薬物を高速でスクリーニングするプラットフォームを開発した。
この新たなプラットフォームは、薬物の有効性を評価するために必要なタンパク質量と時間を大幅に削減できる。
研究チームは、バイオ医薬品企業のアストリオン(ASTRION)と共同でこのスクリーニングプラットフォームを用いたパーキンソン病の治療薬候補の大規模なスクリーニングを実施しており、既に10種類の治療薬候補を発見している。さらに、このプラットフォームをもとに、新たなコロナウイルス感染症(COVID-X)に対する治療薬を含むさまざまな医薬品のスクリーニングプラットフォームを開発することを計画している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部