2023年04月
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深い睡眠中に音に反応する神経回路を発見 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は3月3日、同院の研究チームが、深い睡眠の最中でも音に反応する神経回路が動物に備わっていることを発見したと発表した。この研究の成果は学術誌 Current BiologyNature で掲載された。

多くの動物は、睡眠中でも捕食者が近づいてきたことを察知して反応することについて、科学者らはこれまで、動物が深い眠りと浅い眠りを交互にとることでこうした危険に備えていると考えていた。

脳・認知科学科(Department of Brain and Cognitive Sciences)のキム・デス(Kim Daesoo)教授が率いる研究チームは、ラットを用いた研究により、覚醒中は脳の視床の内側膝状体核(medial geniculate thalamus)が音に反応するのに対し、深い睡眠中は視床背内側核(mediodorsal thalamus)の神経が音に反応して脳を覚醒させることを発見した。ラットが深い睡眠に入ると、内側膝状体核の神経は休眠状態となるが、背内側核の神経は覚醒して音に即座に反応する。

この研究は睡眠と覚醒において、聴覚信号の伝達に使用される神経回路が異なることを初めて示したものとなる。キム教授は「これらの知見は、脳疾患でみられる感覚や覚醒の障害をよりよく理解するためのデジタル医療技術の開発に活用できる可能性がある」と語った。

図1.) 深い睡眠中に音に反応する神経回路の仕組み

図2.) 音刺激に反応した GRIK4 背内側神経
(提供:いずれもKAIST)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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