韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は3月14日、同校と蔚山大学(University of Ulsan)の共同研究チームが、ワニ(クロコダイル)の皮膚をヒントに、伸縮しても高い感度を保つ圧力センサーを開発したと発表した。研究成果は学術誌 Small に表紙論文として掲載され、科学ニュースサイト Advanced Science News でも報告された。
大部分の時間を水中で生活するクロコダイルは、皮膚上の非常に高感度な感覚器官を用いて、小さな波や獲物の方向を感知する。この感覚器官は、規則的に並んだ半球状の隆起(感覚部)と、これらの間を埋める皺の寄った蝶番状の構造(ヒンジ)から成る。クロコダイルが体を動かしても、ヒンジが変形することで感覚部は機械的変形の影響から守られ、高い感度を維持できる。
チームはこの構造を模倣して、弾性の高い高分子材(elastomeric polymer)の半球とナノワイヤで作った皺構造から成る、高性能な圧力センサーを開発した。このセンサーは皺構造のおかげで変形を受けても感度を維持することが可能となっており、1方向に100%、2方向に50%まで伸展させても非常に高い圧力への感度を示した。
研究チームを率いたPOSTECH化学工学科(Department of Chemical Engineering)のチョ・キルウォン(Cho Kilwon)教授は「このセンサーは義肢装具やソフトロボットの電子皮膚、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、ヒューマンマシンインターフェースの圧力センサー等、さまざまな用途に利用できる可能性がある」と語った。
(提供:いずれもPOSTECH)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部