2023年10月
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ぼやけた画像の復元可能、高解像度の3Dホログラフィックセンサー構築 韓国

韓国科学技術院(KAIST)は9月5日、物理学科(Department of Physics)のパク・ヨングン(Park YongKeun)教授率いる研究チームが、1枚のフィルターを使って高解像度の3D画像を撮影できる革新的な3Dホログラフィックイメージング技術を開発したと発表した。この研究成果は、Nature Communicationsに掲載された。

図1. ホログラフィックカメラの構造と原理。ホログラフィックカメラから散乱された光の振幅と位相情報を測定できる

既存のホログラフィックカメラは、光波の干渉を通じて光の波長と屈折を測定する干渉計を使用しているため、構造が複雑で、周囲の環境の影響を受けやすいという欠点がある。

パク教授の研究チームは、複雑な干渉分光法をつかず、特定の数学的条件を満たすフィルターを使って光の位相情報を正確に測定し、より高い精度で物体の3D情報を再構築する方法を開発した。この手法では、2つのレンズで挟んだフィルターが重要な役割を果たす。フィルターは、光の特定の部分を選択的に通過させ、レンズを通過した光の強さは、市販されている普通のカメラで測定することができる。カメラから受け取る画像データとフィルターから受け取る独自のパターンを組み合わせ、アルゴリズムを利用することで、物体の正確な3D情報が再構築される。

図 2. 従来のカメラとホログラフィックカメラで撮影された動く人形。被写体に焦点を合わせずに写真を撮影した場合、一般的なカメラでは人形のぼやけた画像しか得られないが、ホログラフィックカメラは人形のぼやけた画像を鮮明な画像に復元することができる
(出典:いずれもKAIST)

この方法では、どのポジションでも対象物の高解像度の3D画像を撮ることができる。実用的な場面では、一般的なイメージセンサーにフィルターを追加することで、レーザーベースのホログラフィック3Dイメージセンサーを構築することができる。これにより、光学システムの設計と構築がはるかに容易になる。特に、この新しい技術は高速で移動する物体の高解像度のホログラフィック画像を撮影することができるため、応用範囲が広がる。

筆頭著者として研究を行ったKAIST物理学科のオ・ジョンフン(Oh Jeonghun)博士は、「我々が提案するホログラフィックカメラモジュールは、既存のリモートセンシング技術に置き換わる可能性を秘めた有望な候補である」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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