韓国の科学技術情報通信部(MSIT)と韓国天文宇宙科学研究院(KASI)は9月4日、同国の月着陸船のペイロードとして2024年に打ち上げ予定の「月宇宙環境モニター(LUSEM)」の開発が完了し、米国への輸送が開始されたと発表した。
LUSEMは、米航空宇宙局(NASA)の「商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services:CLPS)」の下でKASIが開発した、高エネルギー粒子の検出に特化したペイロードシステムだ。
月面は大気や磁場に保護されていないため、宇宙空間の高エネルギー粒子の影響を直接受ける。これらの粒子が宇宙飛行士の健康や宇宙船の電子機器に与える影響に関しては、将来の深宇宙探査に向けさらなる研究が必要と考えられている。
LUSEMは2つの検出器を備えたセンサーヘッドとセンサーを制御するフロントエンドユニットで構成されており、50キロ電子ボルト(keV)を超える高エネルギー粒子を検出できる。LUSEMは米ヒューストンの民間企業インテュイティブ・マシーンズ(Intuitive Machines)の月着陸船「Nova-C」に搭載され、月の「ライナー・ガンマ」領域に着陸し、宇宙環境のモニタリングを行う。打ち上げはスペースX(SpaceX)のFalcon-9ロケットを用いて、2024年末に行われる予定。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部