韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は4月12日、同校の研究チームが、色と形状をシームレスに切り替えられる10種類のホログラムの開発に成功し、そのホログラムを利用した光学セキュリティシステムを確立したと発表した。この研究成果は、Advanced Materialsに掲載された。
(出典:POSTECH)
オンラインセキュリティの領域では、光を操作する能力で知られるメタサーフェス技術とホログラムの融合に対する関心が高まっている。しかし、1つのメタサーフェスに保存できる情報には限界があった。
この課題を克服するため、機械工学科・化学工学科・電気工学科のロ・ジュンスク(Rho Junsuk)教授率いる研究チームは、人工知能(AI)による逆設計技術を利用して、420ナノメートルから720ナノメートルまでの範囲の10の波長にわたり、さまざまな色と形状をホログラムにエンコードした。さらに、特定の光の波長がない場合でも、設計されたホログラムを正確に実行できるようにするために、斜めらせん(oblique helicoidal)構造を持つコレステリック液晶を用いた波長変調器を組み込んだ。斜めらせん構造を持つコレステリック液晶は、広い波長範囲(400~720ナノメートル)内で、電界や温度などの外部指摘に反応して内部の層構造のギャップを調整することにより、特定の波長(帯域幅30ナノメートル未満)の光を正確に反射することができる。
研究チームは、この装置とメタサーフェス技術を統合して、色と形状をシームレスに切り替えられる10種類のホログラムを開発した。さらに、暗号化されたホログラムを実行するために特定の電界と温度条件を必要とする光学セキュリティシステムを確立した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部